幕間
狭い檻の中に閉じこめられた人間達は思い思いの"くつろぎ"を模索する。己もまた例外ではなく、幾度も姿勢を変え寝返りを打ち、窓の外を見ようと伸び上がった。
とうとうここまで逃げてきた。
深夜のフライト。危険要素は何処にもない、あるはずもない絶対安全の密室。
無論、自分でも愚かさは十分に承知している。守ってくれる相手から逃げ、自ら危険に飛び込むなど。けれどもう、あそこには一秒だって耐えられない。
結局寝付けず、ラウンジへ行った。
ジンジンと痛む目。嫌な予感がひっきりなしにしていて落ち着かない。カウンターにいるのは制服を着た優しそうな女の人だ………余計なこと考えてお節介やくような。
呼ばれた気がして、見たくなくて、でも俺は振り向いた。見える。走る。
確かめる為に。薄いスクリーンに通してるみたいな不明瞭さが消えクリアな視界が開ける。トイレ前で呼び止められた男の子が一瞬だけ目を見開いて笑う。呼び止めた男は気さくな笑いを浮かべて促す。入れ。声がエコーかかって聞こえるのがツライ。赤い、
赤い色が広がった。
ずっとそうだったじゃないか。誰に言っても俺がまたつまらない夢を見たと言って馬鹿にして拒絶して信じたと思った人もそうじゃなくてまるで俺が間違ってるみたいに。そう。本当は違う、おまえたちが間違ってる。嫌なことを耳を塞いで追い出そうとして、俺を追い出すんだ。愚かなのはそっちだ。
だから無駄だし、効果などない。感謝もされない。
分かっていて席を通り過ぎようとした。男の子は友達と楽しそうに話しながら席へ着く。
ああ。
とって返してしまう。口から勝手に言葉がこぼれる、いやなのに。
これ以上憎まれるのは嫌。
next
文章top
|