「それではっ………い、いた、いただかせていただきますっ…」
律儀に前置きをして、獄寺くんは寝転がった俺の両脇に手をついた。ものすごい気合いだ。
ちょっとコワイ。
「うん…」
コワイけど、ここで止めると彼も辛いだろうから俺はふっと体の力を抜き、目を閉じた。遠慮がちに唇が触れ、肩や胸に手が滑る。あたたかい。
はぁ、と詰めていた息を吐き出して、獄寺くんは手で触ったところを唇で辿り、時々舌を出して舐めて、案外それは堂に入っていたというか、慣れてはいないんだけど結構イイ線いっていた。
もぞりと足を動かすと、そのまま足を掴まれて膝が折れ、少し開く。獄寺くんは食い入るようにそこを見つめていて俺は相当に恥ずかしかったけど、我慢して黙っていた。
「あ、あのっ、………しても、いいですか」
それはつまりアレか。
舐めてみたいと、そういうことか?
「い―――きなりそこまでしなくても、無理しないでさぁ」
「違うんです!俺が、してみたいんですが…」
失礼します、と断って、獄寺くんはぱくりとそこを口に含んだ。いきなり行くと思わなかった俺はひえっとか変な声を上げて飛び上がったが、彼は全然おかまいなしにべろお、と舌を側面に這わせる。
もちろん、舐められるとキモチイイのでますます俺の体は弛緩し、ベッドにぐんなりする。獄寺くんを見ると実に嬉しそうにジュルジュル音をたてて俺のソレをしゃぶっている。うまいモンでもなかろーに、何が楽しくてやってんだ。不思議なやつ。快感に耐える為に眉を寄せると、それを見た獄寺くんはますます喜んで笑った。変なやつ。

彼女にしてもらったことはあるけど、こんなに丁寧にされたのは初めてかもしれない。俺がちょっとでもピクっとなった場所を舌先でぐりぐり弄ったり、強く吸ったり、一生懸命で、なんだか申し訳ない。でも気持ちいい。同じ事して欲しいって言われたら嫌だなあどうしよう。うーん、出来ないこともないかなー。分かんないや。
ちょっと体を起こして見る。獄寺くんは腹這いになっていて、なんですかって聞くように視線だけ俺に向いている。俺はちょっと、出したいのを我慢しながら口を開く。
「ぁうっ」
けど耐えられなくて声が、声が。抜けるみたいに変な鼻声が出た。あぶない、そう思って肩を掴むが、獄寺くんは構わず―――強く吸い上げる。や、や、それはまずいって。出ちゃう、
「離し………」
言いかけたのが遅かった。俺は獄寺くんの口に出してしまい、すごく気まずくなった。
「ごめん…」
でも彼は何のことだか分からないふうにきょとんとしていて、それから嬉しそうににっこり笑って濡れた口元を拭った。親指を使ったその仕草がとても色っぽくて、俺は思わず見とれてしまう。
いいよなあ、様になって見える。
「不味いだろ、出したら?吐いちゃえよ」
「勿体なくてできません」
「意味分かんないからそれ」
俺は少し笑って、下に手を差し込んで確かめる。獄寺くんのはとっくに熱くなっていて、何が楽しいんだか知んないけどとにかく大丈夫そうで、俺が撫でるのを、目を閉じてじっとしている。頬が赤い。
「嬉しいです………その、俺」
「あ、そーだ」
キスをしかけてた獄寺くんの顔を思いっきりスルーして、俺はベッド脇に置いといた紙袋を掴んだ。
これは今日の朝首をふりふりやってきたリボーンが深ぁいため息と一緒にくれた代物で、なんだか準備がどうのとか言いながら、来たとき同様もの凄いスピードで去っていった。
「何入ってるんだろ」
面倒なので逆さにしてみると、ガサガサッと音がしてボトボト何か落ちてきた。
馴染みのものから見たことがないようなもの、用途を想像したくない形状をしたもの。
ゴムと、ピンク色の潤滑剤を取り、後のローターとかバイブとか歯医者で使うとしか思えない金属の器具(何なのコレ?)は多分上級者用なので袋に戻す。その間獄寺くんが興味深そうにじっと見つめていたのが気になったが、使わないからね!と主張すると頷いて元に戻る。ちょっと残念そうだ。
やっぱり男の子だねえ。
「コレ使うんですか」
「多分。濡らさないと入んないと思う」
妙に冷静になりながら俺達は顔をつきあわせ、しばし悩む。濡らさないと。だって、滑らないと無理だろうあれは。ってか、滑っても無理だったりして。
………ホントに入るのか?!
獄寺くんはちょっと赤くなりながらも黙って手を差し出す。俺はその上に透明なチューブに入ったピンク色のゼリーみたいなどろどろをぐにゃ〜っと絞り出し、ケーキの飾り付けみたいに捻りを加えてみた。おお、上手いぞ俺。お菓子みたいだ。
「10代目」
「ウ、ウン」
恐る恐る背を後ろに倒していく。なんか、恥ずかしいな。俺実はスゴイ格好してるんじゃないだろうか。獄寺くんから見たら、ねえ。うわー。
「ちょっと、持ち上げますね?」
「ん………ん?」
ぐわしっと足を掴まれ、膝が胸につくぐらいにされて俺は仰天したが、獄寺くんはとても真面目な顔をしていたので嫌だとかヤメロなんて言えなかった。指をぬるぬるにしてるそれがペチャリと尻に付く。冷たくてびくっとする。がまんがまん。
その辺をウロウロしてた指が中に、ちょっと入り口らへんだけ入ってくる。まだ痛くはないけど変な感じ。
「痛いですか?」
「ううん」
「じゃもうちょっと、入れますね」
ぐっと力が入り、指が埋まる。ぐ、苦しい。やっぱりきつい、かもしれない。
俺の表情を注意深く見ていた獄寺くんはそれ以上進もうとはせず、でもちょっと指を動かした。ヌチュ、とゼリーが音を立てて指にまとわりつく。
「動かしても………」
「いいよ」
まだ。だって痛くはない。
獄寺くんはぬちゃぬちゃと音を立てながら抜き差しを繰り返している。その間もキスをしたり、胸の辺りを舐めてみたり、最初よりは緊張してないみたいで良かった。
初めての事だから緊張していたのだろう俺も、徐々に解れてくる。キスに応えたりぴたりと合わさった体温にあったかいなあと思ったり、しているうちに、段々指の方は奥まで入るようになってきた。半分くらい、入っちゃってるかもしれない。
「んーっ」
ずるんと深めに中を通った指が、奥でぐにぐにと動くとじわ、と汗が出てきた。きついからか、苦しいからか、もしかしたらそれは快感のしっぽかもしれない。俺は注意深くそれを辿り、よってますます獄寺くんに近づき、とうとう抱きついた。彼はぐうとかなんとか呻きながら俺を強く抱きしめ、指を動かす。近い、近い。ぴったり一緒。息づかいが一緒。なんだか嬉しくなってくる。
俺達、今、してるんだよ。一緒だよ、獄寺くん。
獄寺くんもそう思ったのかも。不意に俺の方を見て笑う。子供みたいにくしゃりと。
「どうですか?」
「痛くはないや。ちょっと変な感じがする」
確かめて安心したようで、指の動きがちょっと早く、荒く、深くなった。う、時々苦しい。けどまだ大丈夫かな、大分力は抜けてきたみたいだけど。
獄寺くんはゼリーを時々足しながら、俺の顔を見ながら、この面倒をこなしていた。案外彼は辛抱強い。
その先にあるものを見れるからだ、といつかリボーンが言っていた。駄目なら駄目、いいならいいの判断が速いのだそうだ。単純に見えるが計算はしているのだと。
そんでお前も見習えといつもの説教でカタが付いた話だったっけ。うう、あの説教魔め。

2005.9.12 up


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