入れるのは、予想以上に大変だった。ゼリーでぬめる俺のソコと、ゴムをつけてやっぱりこれもピンクのゼリーを塗りたくった彼のモノはそもそもサイズが違ってる。
獄寺くんは充分すぎるほど前準備をしてくれたけど、それでも先端をちょっと、潜り込ませただけで俺はガクガクした。痛い。苦しい。
体の外の痛みならある程度耐性はあるんだけど、中となると全然なのだ。予想もしなかった苦しさに俺はギャアギャア喚き出したくなるのをぐっと堪える。
だって誰だって初めては大事だ。女の子じゃなくてもずっと憶えているもの。だから、相手が痛いだの苦しいだの言ったら彼は傷つくんじゃないか。
獄寺くんにはせめていい思い出になるといい。そう思って俺はひたすら耐えていた。
力を入れすぎると痛いんだ。体を使った作業はいつもそう。だから俺はできるだけ力を抜いてベッドに横たわり、はあはあと息をした。
メリメリ引き裂かれるような感触に耐え、痛みに耐え、滲んできた涙を力の入らない手でこっそり拭い―――どうにかこうにか半分くらい収まったところで獄寺くんを見ると、これが泣きそうな顔をしている。俺は声をあげないように我慢していたけども、真っ青な顔色とか冷や汗は隠しようがないから状態は全部分かられてしまう。腰を引こうとするのを止めて、頷いて、俺はもう一度頑張ろうと思う。
気が付くと獄寺くんは止まっていて10代目ぇ、と情けない声をあげた。ちゃんと最後まで入ったらしい。ぶるりと震えてポウッとなった視線で見つめてくる。でもまだちょっと動かないでほしい。
「ンッ……、待っ…て」
少し体をずらすだけでズキィンと痛むのを騙し騙し、俺は覚悟を決めた。そろり、そろりと獄寺くんが腰を揺らす。やっぱり痛い。中身をぐちょぐちょに掻き回されてるみたいで気持ちが悪くなってくる。冷や汗も出る。こんなに辛いもんだなんて知らなかった。
とにかく我慢する。

部屋にははっはという獄寺くんの息と、俺のぐうぐう唸る声とが響いている。最初は気を付けてゆっくりだった動きが、ゼリーのぬるぬるにも助けられて少し早くなる。
気持ちいいだろうか。
ちゃんと、イイと思ってくれてるといいなあ。
恐る恐る顔をあげて獄寺くんの顔を伺うと、眉根を寄せた険しい表情をしていた。怒っている訳ではなく、快感を追っている時の顔と苦痛の顔はとても良く似ているのだ。中に居る彼がびくびく震えながら大きくなっていく。は、とひときわ深い息を吐き出して彼は薄目を開けた。俺を見ている。
「じゅう、だい、め」
イクんだ。俺はその途切れて必死な音と、顰めた顔と、痛みの中にちょっとだけ混じる変な感覚とがごっちゃになって、その瞬間しなきゃと思って体に力を入れた。う、と低く獄寺くんが呻いて、中のがわっと膨らむ。ゴムをつけてるから独特の感じだ。
瞬間力の抜けた獄寺くんの体がのしかかってきて、重い。潰されそう、と思っていたら彼はそのまま抜いて、ゴムを外しながら横に転がった。ふっと息が楽になった。
このまま眠ってしまいたい疲労。

「10代目!」
けど状況がそれを許してはくれなかった。獄寺くんが蒼白で起きあがり、俺の足を抱えて半泣きで叫ぶ。
「申し訳ございません!お怪我をっ………させてしまいましたっ…」
あーやっぱ切れちゃってたか、と思う。なんだか尻がヒリヒリするし、手を当ててかざしてみたらピンクのゼリーに混じって赤い血がついてる。
ちゃんと薬つけたら治るかな、この歳で痔とかやですよ。
「だい、じょう、ぶ」
息が切れてる。俺は体力が無くて駄目だ。
心配ないと言おうとして笑いかけ、俺はそのまま気を失うようにして眠り込んでしまった。









あれから俺は丸一日寝込んだが、それだけで別に死んだり病気になったりおかしくなったりはしなかった。最初こそ謝りまくって土下座しまくっていた獄寺くんも、一週間ぐらいでまた元に戻ったように思う。
いや、元にというのは正確じゃない。
彼は以前みたいに俺を壊れ物みたいに扱うのを少し止め―――なんとなく背中を、預けてくれるようになった。徹夜明けで疲れてる時に以前なら俺を見た瞬間シャキーンとして元気ッス問題無いッスオレに任せてください!とかやっていたのを、疲れてるねぇ、とか声をかけるとふっと気が抜けたように笑う。それからちょっと間を置いて、気遣ってくださってありがとうございますと礼を言い、まっすぐ俺を見る。
なんとなく触って欲しそうだったので手に手を重ねると、ぱちりと大きく瞬きをして、ちょっと頬を染める。かわいらしい反応だ。

彼は安心したんだろう。ちょっとやそっとじゃ壊れないと知って、俺への酷い遠慮が、少なくとも薄らいだ。それはかなり嬉しかったので、時々手だけじゃなく口でも彼を触ってみる。そうすると、獄寺くんは途端に真っ赤になってあたふたし、目を伏せた。

でも自分から俺に触ることは絶対にしないけど。

2005.9.13 up


next

文章top