10代目に呼び出されたあの日、オレはいつも通りの一日を送る予定だった。ずっと。それに何の疑問も持たず、のこのこ出ていったアホだ。あの人はどこまでもオレの予想を覆す。 今考えれば10代目があんなことを言い出したのはその数日前リボーンさんとのやりとり、そうあの人は未だボスの家庭教師業をやっているから―――が、伝わったのだろうと思える。というか、それ以外考えられない。わざわざ好きこのんで吹聴したい事実ではないからだ。 10代目をそんな目で見たことがないかと言われれば、オレは沈黙するだろう。少なからず、あった。特に学生時代、酷かった。けれどあの人はそういうドロドロしたオレの、自分本位な感情に触れさせる方ではないと分かっていた。最初からあきらめていたような所がある。 あの人がぎこちないながら生の恋愛というものに触れ始めたときも、それは当然だと思った筈だ………もう大分前だからあまり憶えてない。 オレは女のように接して欲しいわけでなく、ただ部下として、右腕として側にあることのみを望んでいたから。特に今は幸せだと思っていた。 それをあの人はひっくり返してしまった。 哀れみだろうが気まぐれだろうが一時でもオレに預けてくれた、その信頼を裏切るまい、絶対に、と誓うと同時、終わっても日が経ってもじりじりと腹の底を焦がす欲情がとても罪深いものに思え、オレは密かに落ち込む。それに、素人のオレから考えたってあれは酷すぎた。あの人を傷つけてしまい、悔しかった。それを見透かしたように、10代目はますます優しく、全部分かってるみたいな顔をして。 どうしてそこまでするんですか。 オレのことはもっと使い潰してくださいよ、と。オレは、 オレは貴方を失うのが怖いんだ。 言おう、言うべきだと思う。ずるずると日ばかり過ぎる。いい加減潮時だと決意を固めたその日に、よりによってその日につまらない仕事で雑魚に手間取り、片付けて、帰ってオレはまたタイミングを逃した。理性では分かっていても、触れると止めるのは至難の業だ。 気が付けばオレはあの人を思う存分ヤっちまってた。 でもそれはあの人も同じで、オレのみっともなく腫れ上がったツラをじっと見てあの目で潤んだようなやばい目で見て、そう、同じ。オレと同じ? 多分。 オレを迎えた10代目の様子はあからさまにおかしく、どうなってるのか、分からなかった。それこそまるで今回のトラブルの原因だったヤクをなかに直にぶち込んだんじゃないかって怖くなったぐらいで。不安だが、それよりまず体が動いていた。ヤりたい。ぶち込みたい。食っちまいたい。 けど10代目、貴方はなんでこんなことすんですか。 終わって、二人でぐったりしていたら10代目は言った。 ごめんねえ獄寺くん。 俺なんでこんなんなっちゃったのか分かんないんだ。 嫌なら嫌って言ってよね。 ………言うわけないですけど。 そんなどきどきしながら言わないでくださいよ。オレ、どさくさにまぎれて貴方の事離さないで未練がましくしがみついてるんです、だから、全部、ドクドク言ってるのも、ちょっと鼻声がかってる声も、直接体に響くんで………っていきなり涙腺ゆるんでるしオレ! 2005.9.15 up next |