平行世界

 

どうやら、此処では自分もおかしなことになっているらしい―――
ツナは青い顔で帰宅し、状況の整理に勤しんだ。雲雀は並中のナルシスト帝王、獄寺は眼鏡をかけた主張のない優等生、山本は某人物を彷彿とさせるちゃらんぽらんな女好き。そして俺は………
「並中の沢田っていやあ、そこらじゃ超有名なんだぜ。スジもんと繋がりあるとか、イタリアマフィアの御曹司とかいう噂も………」
という山本の言葉を反芻し、ツナはがっくりと頭を落とした。

どうやら変な世界に来てしまったらしい。
あの爆破騒ぎのせいかもしれない。(昔、そんなようなアニメを見たことがある)
こっちの沢田綱吉は成績優秀で喧嘩にめくらっぽう強く、クールな性格とキレやすさが原因で誰も半径5メートル以内に近寄らない危険人物なのだそうだ。
「いやだあああああ」
そんなこといったって、ここで松葉杖をついている沢田綱吉はヨワヨワでお話にならない。誰か近隣の不良が来たら一発でこの世とオサラバしてしまいそうだ。

ガチャ。

部屋の扉が開いた。ツナが抱えた頭をあげて反射的に前を見ると、そこだけは元の世界と変わらない光景が………
「リボーン!」
ツナが叫んだ途端、リボーンは素早く跳躍して空中から銃を乱射した。ドスドスドスッと枕やベッドマットに銃弾が撃ち込まれ、ツナは凍り付いた。
「ななななにすんだよリボーン!いきなり危ないだろ?!」
「………今度はどんな手だ?下手な演技だな」
「演技?」
「そんなんじゃ俺の獲物は黙らねェ」
ズダダダダダダ。代わり取り出されたサブマシンガンがツナの頭上に大量の弾丸を雨あられと降り注がせ………
「ギャアーッ」





15分後。
一通りの襲撃を終えたリボーンが、話を聞き終わったのはそれぐらいの頃だった。
「つまり何だ?テメーは別の世界から来たツナって訳か?」
「多分………そうだと、思うよ………?」
「確かに間抜けでのろまな性格してやがる」
ヤレヤレと肩を竦め首を振ったリボーンは、ようやく武器から手を離した。
「おまけに隙だらけだ」
「大抵の中学生はそうなんだよ!」
「テメーは違った。俺が来る前から、がつがつ野生の獣みてーにな」
イタリアから「お前をマフィアのボスにするために来た」とリボーンが言ったところ、此方の沢田綱吉は「うるせえ」と言うなり襲いかかってきたそうだ。こてんぱんにしてやると、「家庭教師なら俺をもっと強くしろ」と実に偉そうに言われたのでムカついて、ビシバシスパルタで鍛えてやっているという。
先程のは毎回の儀式で、ドアを開ければ戦闘開始。ツナがリボーンの頭を潰したら終了の食うか食われるかバトルだそうだ。
ぞっとする。


2006.4.15 up


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