パートナー

 

宣言通り、痛みの麻痺した(ほんとに、妙にもぞもぞった感覚しかない!)尻の穴を(俺もストレート過ぎるな…)キメラ男は熱心に指で弄り始めたが、麻痺しているので全然どうもしない。
「………楽しいのか?」
「クフフッ、もう辛抱できないんですか?堪え性のないご主人様ですねえ」
「すげえ強制変換!」
ポジティブ過ぎる。
経験がABCのB、いろはのろ、までしかない自分には、とうてい手の届かぬ高みか、完全なる異世界の論理だ。
「それにしてもご主人様はこう………雰囲気というか、色気というか、ない………です」
「は?」
「もっとこう、ふわぁっと、はらぁっ、と。どう言ったらいいんでしょう…」
「はあ?」
「マニュアル通りにはいかないものだという事は分かりました。これが人生ってものなんですねー」
「………は」
言ってる事は正しいが、やってることは限りなく間違っている。
ヤレヤレと肩を竦めたり、俺の鼻を突いたりするのは、なんだそれは抗議か。意味がわからん。
「ま、それはおいおい」
「オイ」
別に合わせたわけでなく。
嫌な感じがしてその無法な指を押さえる。ぐっちゃぐっちゃえげつない音をさせて突かれている指が2本に増えていた。
「何お調子に乗っちゃってんだお前はッ」
「あ痛ッ」
「とっとと抜けよ!それから服を着ろ!はしたない」
「着衣プレイがお好みですか?」
「………もーヤダ」
ポジティブを通り過ぎてビョーキだ。
都合のいいことしか聞こえない耳だ。
「いい加減、温厚な俺でも怒るぞ……」
拳を握りしめながら睨むと、おおこわ、と身を竦めて少し下がる。
「でもそんな強気もこれまでです」

完全な悪役の台詞を吐いてキメラ男は指を抜いた。
ほっと一息。つける、そう思ったのは間違いだった。
「あっ?あ………う?」

ぞわぁと背筋を這う感触。
だらだらと汗が伝うような、体全体を何かぬるぬるするものが覆っているような奇妙な気配がした。しかし見てもそんな様子はなく、試しにそっと指で触れてみる。
「がっ………ぁが、ぐっ…!」
ビリビリと痺れるような強い刺激。
けれど、実際は指がかすっただけ………
「おおおおまえ!まさか!」
「さあご主人様、息を吸って」
「吸っ………ぐほ!」
思わずみっともなくむせ混むほど、それは唐突にやってきた。
ざわざわする体をキメラの指がつるつる這い回るたび、内臓をわしずかまれたみたいな、でも痛みではないただひたすら強烈な感覚が生まれる。
「ひぃっ……やぁ―――や、め」
いつの間にかすっかりしっかり勃っちゃってる俺のを見て納得する。これは快感か。
熱いやら冷たいやら苦しいこれは、行き過ぎた快感なのだ。
「吐いて、吐いてくださいね。力入れると一気に悦すぎて失神しまーす」
「何を………はぐっ」
ずず、と中を擦り広げてそれが入ってきた。
さっきまでもやもやするだけだったそこは、普通の表面の何倍も敏感になっているらしく、形やシワまで感じられそうな程、一々感覚にひっかかる。
「失神て……!」
「じゃなきゃ頭がぼーんと」
「それを先に言え―――!!」
「わっ。怒鳴ったりしたら………くっ」
腹に力を入れたせいで、キメラ男は苦しそうな顔になったが俺の方がその何十倍も大変なことだった。
一気に全部、来た。
「あああああっ!!!」
不本意ながら、自己的に中のものを締め付けたせいで目の前に火花が散るほど感じてしまう。
もう快感なんてカワイイものではなく、本当に、おかしくなってしまいそうな。
「ぁあ………ご主人様、早すぎ」
「う………るさ…ぃぃ…」
「僕もちょっと、いっちゃったんですけどね………だってご主人様すごいんだもの。クフフ」

ほめてんのか?
そりゃ、バカにしてんのか?

「あぁ、嬉しいなあ。僕こんな素敵なご主人様に飼っていただけるなんて―――」

アホかこいつだれが飼うかもう今すぐにでも返品してや

ガクン。





「おはようございまーす」
脳天気な声で起きたのは、翌日だった。朝だった。
チューチューチューチュー断りもなしに人の顔に吸い付いていた男の顔を見て、一瞬わけがわからなくなったがそこはそこ。
数秒で我を取り戻し、俺は叫んだ。
「出っ………け」
………つもりが、掠れて声になってねえ!
「はい?何?何ですか?」
「で………」
「はい!はいはいはい!僕ご主人様をお風呂に入れてあげました。えへん」
「て………」
「アフターケアが命ですからね」
「けげふっ………」
むせこんで顔を背けたら、追ってきた。
もううんざり。

「ご満足頂けましたでしょうか?」
………するか。


2005.12.23 up


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