ディーノさんと温泉に行く話
肩に、首に。
瞼に、頬に、唇に。
何度も何度も唇を押しつけながら、熱心に語るディーノさんは日常というより、画面の中の人みたいで俺は現実と認識しきれないでいた。
とりあえず………分かったことは。
彼の手が俺の腰を回って、ちょっとヤバい所にのびてる現状と、チリ、とした痛みに驚いて見ると見事なキスマークが二の腕の内側に着いていたという事実だけだ。
でもそれで十分だった。
俺は彼が何をしたいのか分かってしまい、混乱した。ディーノさん、え、なにそっちの人?!とか思いながら手足をばたつかせるのだが、例のあの目をされながらやんわり抑えられるとハーイゴメンナサーイ、みたいな気分になって抵抗できなくなる。
そのうち片手が、その指が前の、シャレにならない方へ回ってツウ、と形をなぞり上げた。
やっぱそっちか!親愛の情なんかじゃないのか!
「ディ…ノ、さんっ………」
暴走する彼を抑えようと、ひとまとめにされた腕を解こうとするがビクともしない。全然、力が違うのだ。
こうなると鍛えてるなあ、で感心している場合ではない。
なんとか体を捻り、距離を置こうとする俺とおかまいなしのディーノさんはしばらく岩の上で攻防を繰り広げていたが、そのうち、
「ぁ…かはぁっ……」
焦れたらしい彼が、ぎゅっと握りしめたので思わず声が出た。
いいいいや、変なイミじゃなく!単純に痛くて。
でもすぐその後、やわやわと優しく揉まれて息が上がる。そら同じ男だから、どんな風にされたらイイかとか分かられるんだろうなーとかぐだぐだぐだぐだ考えながら身を固くしてると、どんどん、指が。
(うわ、ぁ………)
本気でそういう、動き、なってきて。ごくんと飲み込んだ。
それは、俺だって彼女が居たわけで、それでも、少ない経験からなんとなく察する。
この人は器用だからつまり………そういうの、も、飲み込みが早いのだと思う。俺の反応を見てちょっとでも感じが違うと、執拗にそこを擦ってみたりと勘がいい。
それだけじゃないし。
男だから×××だけ擦ってりゃいいかっていうと、そうでもないみたいだ。現に前のソレとも、面白がって色々遊ばれたし。どっちかっていえば首とか耳とか弱い方なのでしょっちゅうからかわれてたっけ………
アイツ………
今俺がこんな事態になってるなんて夢にも思わんだろうなあ。
「………」
また何か熱心に囁きながら、とびきり甘い顔をしたディーノさんが舌を出した。徒っぽい仕草にドキリとする。
なにすンのって俺の視線を確かめて、態とゆっくり顔を下ろした彼は丁度俺の心臓の辺りを舐め、擽って、辿って引っかかって、ちゅる、と唾液ごとそこを吸い上げた。
「ひっ」
ピリ、とした刺激が走る。驚いたので思わず漏れた声に彼は気を良くしたようで、何度も何度も舌はそこを往復した。反対側には指が触れ、摘んだり親指の腹で擦ったり熱心に始めた。
平べったい(当たり前だ!俺は男だ!)自分の胸を見ているとなんだか申し訳ないような気がして………きたが、イヤ違う違う。俺それじゃディーノさんと望んでこうしてるみたいで、そりゃおかしいよ。
「う…ンッ……」
おかしいの俺かあああああ!!?!
な、なんだか変な声が出てきて、焦る。ヤバいんじゃないのかこれと思う。
くすぐったいようなじれったいような刺激を胸に、あからさまに射精を促す動きが下肢に。一緒くたになって身体の感覚を掻き混ぜる。酷くする。
「んん」
もう一度キスがふってくる。今度は舌が入ってきて、驚いた俺はまたされるがままになる。
くちゅ、くちゅ、濡れた音がする。お湯が溢れて流れ出ていく音、湯船の直ぐ側に小さな川が流れている音―――以外はシンと静まりかえった山に俺と彼の息だけが響く。
なんかとてつもなくやらしい、そう自覚した途端下半身の熱が、歯止めが利かなくなった。
我慢して耐えて耐えていたのを、一気に枷を外すような強い刺激が来て俺は荒い息を吐く。切羽詰まってるのがソコとか息とかでわかるんだろう、ディーノさんはゆるく笑ってまた何事かイタリア語で囁いた。分からなくても、なんとなく………いやらしい言葉だっていうのは分かる言葉の響きで。
「あは、ァっ………!」
びくんと大きく跳ねた俺の身体をしっかり支えて、ディーノさんは俺を湯の中から出した。
多分、湯の中に混じっちゃヤバイっていう心遣いだったと思うんだけど、予想外に俺の動きが大きかったみたいであんまり意味無かった。
イっちまう瞬間、俺は彼に抱きついて縋るようにしてしまったから、それはただぼたぼたと湯の中と彼の足に垂れただけだった。
「す、すみませ、ん!」
うわあ申し訳ねええええ………!
お、俺の出したやつで汚してしまった………
射精後の冷めた頭で状況を認識すると、それはもういたたまれなかった。
チョイ泣きそうになりながらも、くっついていた胸から顔を上げる。驚いたような顔をして、固まっていたディーノさんは抱いた俺ごと、そっと湯の中に入った。
「………」
彼の膝の上という、実に特殊な場所に置かれた俺はパニックが収まりつつあった。
実際キャアキャア喚くような状況が連続で続くと、人間本能的にそういう物質が出るらしいよ。すごいよね、ウン。
そいで、落ち着いてきた俺の下と壁面で、じっと黙ってるディーノさんはというと。
落ち着くどころじゃありませんでした。
「あ………わぁ…っ」
向かい合わせで湯の中に座ってる、俺の足の間に触れているのは。
すごい、冗談じゃないんだこれ!と目を覚まさせるに十分な程固くなった彼自身だったので俺はほんとフッと気が遠くなった。
カクンと力が抜けて砕け落ちそうになった俺を慌てて支えて、覗き込んだディーノさんは。
「………、………」
相変わらずワケわかんないイタリア語で喋ってるんだけど、なんとなく言いたいことは分かる。
というか、男がこうなったら希望は一つしかない。
しょうがないから。
俺は湯にあたってまっかっかーになった顔色のまま、小さく頷いた。
だって俺ばっかりって訳にも、いかないでしょう?それって割合悪くなるし、商売上も貰いっぱなしって良くないっていうから………って別に商売じゃないんだけど!
決意した俺はおそるおそるその場所に手を伸ばしたが―――
不意にがつっと全身でぶつかってきたディーノさんに腰を抜かした。な、なんで?!なんで俺壁に押しつけられてチューとかされてんの?!?
え。
混乱した俺に更に混乱する事態が襲いかかる。
よりによって、彼が触れたのは俺の、ええとつまりだね………
「うわディーノさんそれはちょっ冗談で済まな」
「………!」
またイタリア語ー!!
かなり激しい調子で返されて反射的にビクついた俺の尻を、ディーノさんの大きな手が割った。湯の中でず、と指を差し込まれて息が止まる。
まさか。
まさかね?冗談でしょ?
アワアワとオロオロをするだけの俺に、彼は寸分の躊躇いもなく指を突き立てた。
「痛い!」
幾ら湯の中で、身体が解れてるからって、いきなりそんな深く入る訳がない。浅い所で緊張した俺の身体は指を締め付け、追い出そうとした。
痛い痛い痛い………
けどディーノさんは諦めなかった。指をクンッと曲げると、抜き差しをしてソコへ緩い刺激を与え続けたのだ。
最初こそなん、しやがる、この、やろ!と睨み付けていた俺だけど、同時にさっき出したばかりの前までいじられてちょっと様子が違ってきた。
前をいじられて快感に力が抜けると、その分奥に指が潜っていく。途中、丁寧にほぐすように指をクネクネと動かされると、ちょっ………変な気分になってくるのも事実。
あ、あれだ。前立腺。
風俗店でシテもらうとすげー気持ちいいって評判の。
俺未成年だから行かないけ………ど!
「アァッ」
変に甲高い声が出る。こうなると、もうとまんない。
割と快感には素直に降伏宣言出してしまう根性のない俺は、そうなのだ。意地はるの馬鹿らしーって気持ちになって、はあはあ喘いでしまう。
「あ、ああ、あぅ………」
「………ツナ、」
やっと分かる言葉に俺は目を上げた。
名前を呼んだディーノさんは眉を寄せて何かに耐えるような顔をしていて、そこに汗とか湯の雫が滴って、すんげえええかっこよかった。
男だぞなにしやがるっ………っていうより。
俺男ですいません、と謝ってしまいたくなる。
いやおかしいんですけどね!?自覚、あるんだけどね………
「んっ……」
また性懲りもなく膨らんでる俺のを掴んで、荒っぽく擦り上げて、今はもう2本に増えていた指を抜いて。
ディーノさんはまた何事か耳元で呟きながらそれをあててきた。
う、固。絶対入んないと思う………
のに、彼は諦めず俺の腰から一回りした腕で腹に触れて、身体を倒した。湯の浮力で簡単に支えられるから、この体位はOKだな。(いや納得してる場合じゃないし!)
ぐっと中に押し入れられる。入らない、無理、思っていたのに存外柔軟に彼を飲み込む。
湯のせいもあるだろう。余計な力が入らない状態で含まされたソコはひくひくと収縮し、俺はというと息も絶え絶えだった。
いくら湯の中でも俺の上半身は空気の中。ハアハア荒い息を吐いても一向に楽にならないのは当然で、尻にはディーノさんの、俺からしなくても規格外のモノが入ってるんだから当然だ。
「痛ァ……」
ずぶっと突き入れられた瞬間ぽろっと涙が落ちる。
ひ、ひどい………
俺なんも悪い事してないのに………
「ァ、ふぅっ…!」
そのまま、腰を使われる。痛い苦しい熱いのぼせた―――色々な感想があるが、一番上にあったのは
「ディーノ、さん、のばか………!ひと、でなし………!」
俺が覚えているのはそこまでだった。
打ちつけられる衝撃と、ピシャピシャ肉が擦れ合う音。
それとどうどう流れてくお湯の音、ぐらいで。
2006.3.4 up
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