ディーノさんと里帰りする話

 

「本当にスマン………」
「いえディーノさんが謝ることと違うような」
「ゴメンな」
薔薇がつぼみごと飛び散り、生け垣は破れ………
惨状を見ていたツナは少年とディーノの、息のあった舞踏のような打ち合いに感心を通り越してあきれ果てた。
(折角庭師さんがこれだけ咲かせただろうに………)
センスのいい庭をすっかり気に入っていたツナである。
自分の手に負えない分野には諦めの良いツナである。
もそもそと飛び散った枝や花、葉っぱをかき集めて彼は庭掃除を始めていた。
「怪我しちまってるじゃねーか」
「これは違いますよ」
その際、薔薇の刺をさしたりひっかいたりして手は細かい傷だらけになっている。
母屋へ戻ったツナに、執事さんが丁寧に傷薬を縫って包帯を巻いてくれた。見かけほど大した傷ではない。
「それより、あの子は………」
「あの子?」
きょとんとしたディーノは束の間、リボーンの事であると分からなかった。
子供らしくない、というより子供という存在より、大きく範囲外である。ツナの子供扱いが不思議に思えたのだ。
「あいつはピンピンしてる………っつーか、俺より全然強いから…どうせなら俺の心配してくれよ」
「………っ」
ハハハと冗談めかして言ったディーノが、膝を寄せる。
ツナ、下がる。

「………」
「………」

(か、勘弁してくれーっ)
ツナは焦りまくった。
此処はディーノの私室である。屋敷の最上階に位置する、アホのように広い、どっか王族の部屋のような豪華絢爛………より一歩引いた、奥の。
初めて入った時微かな既視感を感じたのは、そこがディーノの仮住まいであるマンションと似たような雰囲気とインテリアだったからかもしれない。きっと元々、彼の趣味はこっちなのだろう。
大きな窓から見える空が綺麗な青で、気持ちのいい部屋だ。
(だ、けど………)
そんな気分の良い部屋に居て、ディーノと顔を付き合わせて。
ツナの方はと言えば、落ち着かなくて困っていた。
(あのガキ〜〜〜!!!)

先程リボーンに触れられた部分からゾクゾクとした感覚が全身に広まって―――
全然、収まってくれないのだ。

「ツナ?」
「うわはは、ぜ、ぜぜん、なんでもないです、よ」
たった一撫でで此処までしてしまうその技量もスゴイ。
スゴイけど、感心してる場合じゃない。
(うう)
触られたり近い場所で喋る、その声を聞いているだけでビクッ、ビクッとなる。
変態チックで大層嫌だ。自分はこんなんじゃないはずだ!………と気持ちが追いつかない状態だった。
「なんでもなくないだろンな汗かいて」
「ひゃんっ」
額を撫でていた手が首筋を拭った。途端妙な声が出、ツナは慌てて口を塞ぐ。
バレたかな?
っつか、バレるよな?!

案の定ディーノはぽかんと口を開け、食い入るようにツナを見つめていた。
「す、す、すみませ…」
なんだか知らないが別に俺悪くないけど!ど!
ツナが謝ると、彼は上から見下ろす視線を険しくした。目を眇め、口をぐっと引き結んでむっとした表情になる。ツナは慌てた。
「ディーノさん………」
「………」

黙りこくったまま、彼はぎゅうっと正面から抱きついてきた。
勢いとは裏腹に、例の馬鹿力かと身構えたツナの身体をふわりと抱きしめる。優しい抱擁だった。
「あのう」
「………悪ィ」

ぐうぅっと叫び散らしたいのを飲み込んで。
ディーノはひたすら耐えていた。ツナがそういう、気になってくれたのは嬉しいが(やっと恋人になってくれた彼は予想通り、予想以上に淡白なたちだったので、色々と)、その原因が自分ではなくリボーンにあるというところでひっかかりがある。
しかしディーノもそれなりに年を重ねている。たったさっき会っただけの相手同士に、お前あいつのがいいのかよなんて感情的かつ非常識、妄想に走った問いはしない。
しないが、男である以上そういうくだらない事も考える。

ぐるぐる考えた末、ディーノが取った結論は一つだった。
「ディーノさんっ!?」
とりあえず目の前のコレをどうにかしなきゃなあ。
若干浮ついた気持ちが無いではないが、折角の大義名分を見逃すほど彼は紳士でも聖人君子でもマゾでもなかった。
それに、俺だって、という気持ちもある。
自分だって張り合うなんて馬鹿馬鹿しいと思う、けれども、そういう事態を考えてもおかしくないぐらいくだんの人物は危険極まりないのである。

決意をしたディーノは早かった。かぷりとツナの唇に噛み付くと、ぬるぬる舌を滑らせて刺激する。
キスだけで力を抜いた身体を抱いたまま、膝上に乗せて服の上から、下からもまさぐる。これだけすれば意志は通じるだろう―――
そんなディーノの思惑通り、ツナは顔を赤くして動きを止めていた。
「え、あ………、するん、ですか?」
「しねえの?」
べろりと舌を出してむき出しにした肩を舐める。骨張ってごつごつした感触と、きめの細かい東洋人の肌が心地良い。
「それは―――」
くっと小さく息を詰め、閉じた瞼。
普段は幼ささえ漂う童顔が、眉を寄せた切ない表情になると少し、艶めく。
唇を指でつつくと、ぱくりと指をはんだ。
素直だ。
ディーノの顔つきがまた険しくなる。あれから1度しか抱いていない―――更に正確に言えば、入れてない。初めての痛みに怯えたツナに、無理強いしなかったのだが。
他人の手により与えられた快感によってなら、少しばかりすねる気持ちもわく。
「ん、ぐ」
口のなかをくちゅくちゅと音がするほど弄りながら、舌を滑らせていく。
なだらかな胸を下りて下腹に、合間胸の尖りを執拗にこねる。やや性急な愛撫にツナは戸惑ったように身じろいだが、ディーノは身動きを許さない。
「………く、ぁ」
先端の湿ったそこへ辿り着いた舌が、震えている鈴口の部分を浅く含む。
はっとして下を見たツナはそれを思いっきり後悔した。ディーノの口が自分の性器に触れている場面をばっちり目撃してしまったので彼はわたわたと足を暴れさせ、
「こら」
「いっ…」
ぎちりと掴んでいる腕、指が拘束を強くする。
「ディーノさん、ちょっとそれは」
「んー?」
わざとのんびりした口調で返事をしながらも、責めの手は緩めない。舌先でちゅぷ、と音を立てて擽り、甘く吸い上げる。
「んあっ」
身体の大きなディーノに比べ、小柄で細いツナはいいように扱われてしまう。大した抵抗も出来ないうちに育った自身が、ぴくぴくと震えて決定的刺激を欲しがっているのをただ見ているしかできない。
「我慢、足らねえなぁ」
「す、みませ………」
「謝んないでいいぜ。かわいいから」
チュッと音を立てて頬にキスされる。完全、頭に血が上った状態でツナは悶えた。
(恥ずかしいぃぃ………!!)
そりゃあディーノはいいだろう!ディーノは。
あああ似合うさディーノさんは!
しかし言われているのは自分なのである。光景的に考えて、笑える。
「そ………いうの、はアァっ!」
ずぶりと濡れた指が中へ入り込む。油断していた所に含まされたそこは、じくじくと痛みと異物感を訴えている。
「やっ………痛いですっ…」
あの痛みを思い出し、反射的に首を振るツナに、ディーノは宥めるようなキスを繰り返す。
「まいったな………嫌か?」
「い、痛い、から」
「ったってなー。ツナ」
ぬるん、と太いものが足を割って入ってくる。
腿の合間から顔を出しているそれを見たツナはうわあ!と些か色気のない声を上げてしまった。
(………凶器?)
しゃれになんない。
半分泣きそうになりながら、恐る恐るそれに触れる。指先が触れただけでぴくんと震える、その先端だけでも腰が退けてしまう。
「ツナ………」
首筋に温かい息がかかる。耳元で低い声がする。
固い小さい歯の感触が弱い所を辿っていき、かぷりと軽く咬んだ。
「ひぃ………ん!」

ディーノの懇願するような口調に、徐々に意志が崩壊していくのを感じる………
ツナは十分、彼に甘い自覚があるのだが、それも致し方ないと思う。
これだけの容姿とステータスを誇る癖に、ちっとも頓着せずぼろぼろメシを零して食事するところなど、あーホラホラと世話を焼いてやりたくなるような。
つまり。
頼りないのだ、この男。

仕方ないです………ね、とツナが頷こうとしたその時。
キイと音がして、不意に風が頬を打った。
ぎょっとして前を見ると………

「ンギャー!」
「おいおい、ちったー色気ある声だせよ。なァ?」
ロープ一本、片手でぶら下がっているのは先程の少年、リボーンだった。
「あわわわわ」
ツナは蒼白になった。まだ入れてないとはいえ、ばっちり抱えられ前を露出してまあはっきりきっぱり言ってしまえば○○○?状態のこの体勢を、こんな幼い子供に見せてしまって良いのだろうか?!
「リボーン………」
がっくりしたディーノが呆れて身体を前に倒す。拍子に、前倒しになったツナが「あっ」などと言ったので慌てて身を起こしたが、
「………っ」
ふるふると震えて前を押さえている、その顔を見ただけで気が変わった。

「おー」
パチパチと手を叩くリボーンの前で、ディーノはツナを持ち上げたのだ。
力が抜けていたせいでぼたぼたと落ちる手足をやんわりとよけ、いよいよ、本格的に後ろを弄る。
「あっ、あっ、やあっディーノさん!」
「何しに来たんだお前は」
震えるツナを背中から抱え、指だけをぐちゃぐちゃと動かすディーノの顔は珍しく半眼だった。ムッとしているのは間違いない。
「生徒のお前がどれだけ成長しているか、見てやろうと思ってな」
「せいっ………とっ………て、え」
「俺はディーノの家庭教師だ」
「家庭教師っ?!」
「不出来な生徒ですまねーな」
息も絶え絶えなツナへ、リボーンは口元だけで笑って見せた。
「そーゆーこと………どれ」
「へっ………ええっ」
スタスタと窓辺から歩いてきて、間近で止まる。
その指がツウと頬から顎に伝い、驚いて固まっているツナの肌を擽る。
「ひいぃっ」
怖れだけでなく、快感を感じ取って泣く声にディーノは強く眉間に皺を寄せた。
「ツナっ」
「あっ………あああ!」
素早く指を抜くと、座らせた体勢のまま下から貫く。突き刺されて叫ぶ喉に唇を這わせる彼の表情は嫉妬に歪み、「家庭教師」を苦笑させた。
「い―――ひぃ…っ」
「なーにムキになってやがんだ、よ」
視線の先にある胸の尖りをぺろりと舐め、赤く色づいたそこをひっかいたり、柔く咬む。
少年が始めた巧みな性技にツナは目を剥いたが、直ぐにそれどころではなくなった。
「アッ、ゥンッ………く、ふ」
注挿を激しくしたディーノの腕が、細い腰を掴んで揺らす。意識のある状態でしっかり刻みつけられる他人の身体に、ツナは呻き声を上げた。
「馬鹿が。初心者に、手加減してやれ。壊れるぞ」
「うくぅ……っ」
耳元で囁かれる声。瑞々しい、少年期の高い音が耳を擽る。
似合わないこなれた言い回しと言葉の内容に、衝撃で萎えていた性器がぴくりと反応した。
「お前は素直だな」
リボーンは手を伸ばし、少し湿ったそれを掴んで擦り立てる。
細い少年の指が先端に食い込み爪を立てると、たちまちのうちに勃起する。反応を見て、リボーンは吐き捨てた。
「早い」

悪かったなあああああ!!!!
っつか、離せ………よ!

出したい欲求を寸前で締め止められ、身体を捩る。しかし、ツナが暴れれば暴れるほど中に入ったディーノが内壁を擦り、耐えきれなくさせる。
「よしよし………もう少し辛抱しろよ」
指でぎちりと止めたまま、リボーンは舌をのばしツナの半開きの口に突っ込んだ。
「んぐっ?」
柔らかでベルベットのような、舌。の上に、ぷんとワインの香りがする。
「んんヴいお!」
未成年!とツナは言ったのだが、口に物を突っ込まれていると言葉にならない。
リボーンはたっぷり1分は舌で咥内中を舐め回し、合間に胸や腹を撫でて拷問を続行していたが―――

「よし」
一声で、手を離した。
一拍置いてツナが達すると、おびただしい量の精液が足の間に漏れる。
「くっ………」
低い呻きをツナの首筋に吐いたディーノも、続けて射精する。びくびくとのたうち回って精を吐く、その感覚を腹に含んだツナは怯えたように目を見開いた。
「どうだ。イイだろう」
ちらりと尖った犬歯を除かせて微笑うリボーンの顔がアップでツナの視界を埋める。
………反射的に頷いてしまった。


2006.3.6 up


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