ディーノさんと里帰りする話
このエロガキ………!
ツナのリボーンを見る目は完全に変わってしまった。今も、平然とツナとディーノの絡んだ姿を見ている姿と言ったら―――よりによって腕を組んで!
「アッ……ハ、ァ…」
何度も突かれ、息も絶え絶えにシーツを掴むツナと、彼をうつ伏せにさせて後ろから深く犯すディーノの「邪魔………だぁ………」という視線にもどこふく風。
高そうな年代物のワインなど飲みながら、じっくり観察している。まごうことなき変態である。
「俺の事なら気にするな」
にこやかにそう言ってグラスを傾ける、その笑顔が悪魔に見えてきた。
気にしないわけないじゃんよと霞がかった目で睨み付けたツナは、身体に回る二本の腕に縋る。
ディーノさん、もう止めてください。いろいろいろいろ辛いから………
普段は優しいディーノを豹変させたのは間違いなくこのガキである。
「うぅンッ………!」
もう何度目かにもなる射精の後、ぐったりと寝台へ身体を預けたツナは思った。
(絶対、こいつがかわいいなんて思わねえぞ………!)
数日後。
ディーノの屋敷では一番に気に入っている庭にツナは居た。庭師さんに頼み込んで、手入れを手伝わせて貰っているのだ。
刈り込みばさみは重いので持たせて貰えず(皆ツナの細腕を見ると、にっこり笑ってもっと食べなさいと言う…)、箒で刈った葉枝を集めていると。
「よぉ」
ひょいと顔を覗かせたのはリボーンだった。
「………いいのかよ」
今ではツナも、リボーンがただの少年でなくディーノの親戚のお子さんなどではなく、何やら大物っぽいのを気配で察している。
ディーノの商売敵(イタリアは物騒だなあ!)の差し金で、屋敷に賊が入ったときも鮮やかな手並みで仕留めていた。トロいツナの身の安全を守ってくれたのも彼だった。
あまりにも鮮やかすぎて「ちょっあれ死んでんじゃないの?!」とツナは慌てたが、「安心しろ、当て身だ」と言うので納得した。銃にも当て身があるなんて、ツナはイタリアへ来て初めて知った。
「お前、明日にでも帰るんだって?」
「うん。母さんのこと心配だし」
当初の予定通り一週間ほどの滞在で、ツナは一足先に日本へ帰る。
「決心は付いたか?」
「え?」
「あいつと付き合うだけの、心構えが出来たかって言ってンだよ」
(………しまったァ!!)
今の今まで、余りに衝撃的な事が初日から起こってしまったので、ツナは悩むのを忘れていた。というか、むしろ、
(ディーノさんってなんて優しいんだろうとかって、改めて感心しなおしてたァー!)
それというのも、何事に付けて容赦のないリボーンと比較して、ますます彼の美点が強調される故だ。
赤くなったり青くなったり百面相をしているツナに、リボーンはフッとニヒルな笑いを浮かべてみせる。
「その様子じゃ大丈夫そうだな」
「リボーン………」
師弟関係であると言っていたあれは、あながちウソでもないかも知れない。
心配していたのかと思い当たる気持ちと、少年の優しさと気遣いに少しだけ―――ほんの少しだけ絆されたツナは、椅子に腰掛けている彼の隣にひょいと座る。
「あの………さ」
「なんだ」
「大丈夫だと………思う?俺なんかで」
「はァ?」
呆れたような顔。声。
むっかつく顔。声!
苦笑い、愛想笑いで誤魔化そうとしたツナに、リボーンは容赦ない。
「テメエで考えろ馬鹿らしい」
「そ、そうだよね………ゴメ」
「………そうだな」
ぐいと顎を取られ首を捻るほど引っ張られ、向いたツナは凍り付いた。
触れ合いそうな間近な距離にある大きな目。むしろ触れてしまってる唇に、舌の感触がぬるりと這う。
「あいつで無理だと思ったらいつでも代わってやろう」
「………要らない」
この子もなあ、ほんとどうにかしてるよなあ。
リボーンの将来を考え思いやられたツナは、土の付いた手でその顔を押しのけた。
最高に天気のいい空が、窓の外に青く広がっている。
すぐに追っかけるからなーと、眉を八の字にしていたディーノの顔を思い浮かべてしまう。
ツナは密かに笑った。結局最後まで、二人でゆっくりした時間はとれなかったけれども―――彼の生まれ育った土地を知ることが出来て、とても楽しかった。
(危なかったりおかしかったりやらしかったり色々あったけど………!)
頬をうっすら赤く染めたまま、ヘッドフォンをかけて目を閉じる。
(心構え………ね)
そんなもんあるわけないじゃん。
とりあえず一緒に居たら楽しいから居て、この人ならいっかなーって思って、痛いのも辛いのも一緒に酒飲んでくれたから………な訳で。
(でも少しは………前よりは、もっとずっと一緒に居たいかなあ?)
反応が薄いだのもっと好きとか言ってーと言われてた頃の自分よりは、少しは進歩したのだろうか。
(………はずかしー)
一人でそんな事を考えるいたたまれなさに首をふり、目立たぬようそっと視線を巡らした彼は。
「………ナンダヨ」
「挙動不審だな」
護衛と称して着いてきたエロガキ様に、身も凍るような目で見られて沈黙したのだった。
2006.3.6 up
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