12月24日の災難

 

 

 

 足音に、ツナは敏感に反応した。常ならばそんなことはないのに。
 その足音は不安にさせる何かがあった。早くも遅くもない、軽くも重くもない。それが、ツナの居る階段踊り場の上を通る音。
(でも―――…)
 この大きな屋敷の構造がおかしいのは、迷ったツナは思い知っている。階段は1階から5階を結ぶものではなく、1階から3階、2階から3階別棟………というように、初心者には訳の分からない構造をしていた。もう、綱をかけて外の壁から行った方が早い、というような。
(部屋…?でも、これ階段降りる音だよな?)
 足音は近くなって、止まった。
 間を置かず、ズズズと何か擦るような、軋むような音がする。
(扉?)

 ツナはとうとう好奇心を抑えられなくなってしまった。
 思わず姿勢を崩して立ち上がろうとする。しかし………いいものだろうか。そりゃあ、やっと出会えた人らしい人(の足音)だから、本当は今すぐにでも飛び出して、道を教えて貰うのが一番だ。
 しかしツナの足は一向に素早い動きを見せず、のろのろと位置をずらすだけだ。



→ あたって砕けろ!とにかく動かなきゃ始まらない!

→ そんな恐ろしいことはできない


2006.12.25 up


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